おんたけスカイレース
その②おんたけスカイレース本番編
夜中にぽつぽつと降っていた雨も本降りにならず朝5時の時点で霧雨状態。天候次第では山頂から先のお鉢巡りは中止との話もあったので少し心配になる。
が、すでに昨日朝から王滝入りしている自分には、昨日も同じように麓はガスや雨が続いていても上は晴れていたのでたぶん今日も大丈夫だろうと楽観的になる。確かに6時頃には空も少し明るくなっていた。
5時過ぎに桶川師匠グループ(8名?)と会って記念撮影、同じ頃、群馬のザスパ草津応援組2名とも合流する。
スタート前から丘陵を駆け下り、ロードでウオーミングアップする師匠グループご一行(仮称:さすらいランナーズでいいかな?)。大勢だけどレースを通じて知り合った方がほとんどらしく、和気藹々楽しそうでいいな。
スタート地点。「神主さんの祈祷が始まるから頭(こうべ)をたれてください!」と言われ、素直にたれる人々。二礼二拍手一礼を一斉にしてレースの安全祈願をする。
午前7時ちょうどに「パオ~ンン」と独特の合図でスタート。スタート地点はこんな一般道でロードレースみたいだけど、これから先とんでもない過酷なレースの幕開け。
前半6キロくらいは登りのロード。えっさほいさとゆっくりとでも走って登るしかない。この辺は昨日下見で車で通っているので王滝の市街地や蕎麦屋や神社里宮や史料館などおよその位置が把握できているので気分的にはかなり楽だった。さすがに回りでも歩く人はいない。だから僕だって歩くわけにも行かないぞ、と。
ロードとの分岐点「大又」を過ぎると林道になる。ここから先がきつかった。自分にとってこのレースで一番の壁だったかもしれない。こういう微妙な傾斜の林道がとても弱い。激坂ならみんな歩くからペースは崩れないし追い抜きも越されもしないんだけど、何でもない微妙な登り坂はこういうところを走れるか歩いてしまうかで最終的なタイムにも現れることは普段のトレランでも身をもって実感している。
結局、ほかの人が小走りで走る中、ちょっと傾斜で歩くことの繰り返しでだいぶ抜かれた。精神的にも先行き不安で「なんでこんなレースに出てしまったのか・・・」と早くも後悔の念も見え隠れ。この辺は相変わらず弱い自分に苦笑。
レーススタート後約1時間半、ようやく体調が整ってくると、樹林帯が開けてスキー場に出る。レース全体を通じて「意外と素直なコース」という印象で、ニセ尾根(やった頂上だと思ったら・・・その先にまだ山があったり)とか、ダミーカーブ(このカーブを曲がればと思ったら・・・その先にまだカーブがクネクネあったり)が少ないのが特長でスキー場にでたらあっけなく第一エイドだった。マツムシソウもきれい。この日の高山植物の中でベストはスキー場ゲレンデのマツムシソウ群落だった。
第一エイド手前で最後尾からスタートして追い上げてきた桶川師匠に追いつかれる。林道でかなり参っていた自分なので、ここまで先行できただけで十分、もはやこれまでか。記念に写真をとる。自分は女々しいポーズになってしまった。たくましい師匠と対象的じゃぁないか。サイズ小さく掲載。
いよいよレースの醍醐味、スキー場ゲレンデの直登。確かにきついが別に駆け上るわけではないので周りのペースに合わせて登るだけ。しかも、岩山でもないのでバランスを崩すこともないので登山だと思って歩きやすいと言えばやすい。
ペースを上げる桶川師匠にくっついて引っ張ってもらう。こういうところで諦めて引き離されるか、貪欲にくっついていくだけでもタイムに繋がることも経験上実感。頑張れるところまで頑張ってみた。密かに後ろから登り方を研究する自分。先行者の尻にくっついて足を見たり・・・前が女性だったら完全にヤバいな。男性でもある意味ヤバイな。写真まで撮って。
でもこれはとても勉強になった。別の人でも靴を逆ハの字で行く人や体を左右に振りながらよいしょよいしょと上がっていく人もいる。つま先だけで登るか、足裏全体で登るかは力量次第だと思うけど、疲れない登り方をいろいろ考えてみた。結論はそう簡単にはでない。
何度も応援場所をかえて熱心に応援してくれる家族。右は田ノ原エイドにて。
スキー場の激登りも意外とあっという間に登り上げ、2時間15分で田の原。大勢の登山客と修験者の歓声を受けて気分良く登山道に入る。さぁここからが山岳本番といきたいところだが、ここまでの登り一色で足が完全に登り仕様になってしまっているので平坦なトレイルも満足に走れない。攣ったり捻ったりはまだしていないんだけど大腿四頭筋両足がプルプル。こういうことは普段はあまりない。ふくらはぎは張っていないのはこれまた不思議。
平坦トレイルをだましだまし走り、諦めて写真を撮っていると「ブログに載せるんですかぁ~」と声をかけられる。初対面の方だが、はいそのとおり。このブログ見てくれているかな?このあとにかなり離されて早々にゴールされたみたい。
田ノ原から御嶽山頂小屋までは森林限界を超えている岩稜でとても清々しい雰囲気。登山マップでも2時間程度なので、日帰り登山客でいっぱい。そんななかをトレランレースで恐縮しながら先行させてもらう。やっぱり里山を走るトレランとは違って「スカイレース」と名乗るだけの雰囲気あるレースだなぁ。
天候は3000メートル級だけあってガスと晴天の差が激しい。走るにはちょうどいいかな。
山頂小屋手前で早くもお鉢巡り周回を終えて下ってきたトップ陣とすれ違う。1位宮原さん・2位松本大さん(我らが群馬人)・3位後藤さん・4位奥宮さん・・・下の写真は宮原さんと奥宮さんです。
山頂山荘の第三エイド地点
最高点、剣が峰への最後の登り。
剣が峰にてエイド。と思ったら、後から知ったのですが「私設エイド」だということでした。ビスケットやパンや岩塩や、一番うれしかったのは漬物(きゅうり・にんじん・だいこん・・・)もありました。ペットボトルの水も運び上げてくれたみたいです。こういう地道な応援してくれるひとがいるとは知りませんでした。ネットで見かけた方だと思うのですが、この場を借りて感謝です。(実は復路でも漬物を期待して折り返してきた自分)
さぁこれもレースの醍醐味、お鉢巡りコース。ここだけで2時間近く走るので結構参ってしまうと聞いていましたが、僕は岩のトレイルが好きなのでかなり満足できました。この辺も「素直なコース」でほどよいアップダウンと素晴らしい景色でした。こんな山の上でしっかりと待機してくれる途中2箇所のエイドの方にも感謝です。このあたりはリンドウの群落が見頃できれいだった。オレンジの服の方は山頂から下り途中までご一緒だった方。地元からの出場のようです。
1箇所、二の池からの急登にはみんな苦労していた。確かにここまで来てこれはきついなぁ。しかも、ふと我に返ると剣が峰から田の原~スキー場~麓まで復路が待っていることを忘れていた。のんびりお鉢巡りもいいがレースはまだ終わっちゃいないんだ。
二の池エイドでしばらく立ち止まって左足の豆を絆創膏とテーピングでしっかり固定して下りに望む。こういうこまめなケアも大切だな。
5時間44分で剣が峰を通りあとは下るのみ。このあたりで200番くらいと言われた。エントリー500人、出走者420人くらいと見込んで、自分の目標である「完走者(または出走者)の半数」くらいだと考えるとちょうど目標どおりか。
下る下る下る下る。岩の下りは楽しい。でも捻りや激しい転倒だけは避けたい。写真をほどほどに「集中集中!」「木道注意!」「捻るなよ」と声に出しながらひょいひょい下る。下山のハイカーさんにも道を譲っていただき礼をいいながら軽快に下る。こういうの本当に楽しいなぁ。
剣が峰から35分で田ノ原へ。警察官・消防隊も応援してくれる。
スキー場激下り風景。山頂辺りからご一緒した二人の方にはここでおいていかれてしまった。下り坂は人それぞれコツをつかみながら走っている感じ。僕はまだまだ未熟。
最終エイドを過ぎると、大又までさらにゲレンデを駆け下り、その後はハイキングコースのような沢道を行く。ここまでくると前後の人の間隔が開き、一人自分との戦いで走る。先を行く人も同じように疲れがでていて立ち止まって悶えている人や膝痛らしく歩いているひとなどさまざま。
自分も空腹が原因か意識がもうろうとしてふらふら。ハイドレーションが軽くなったバックもいまいちフィットせずベルトを抑えたり肩紐をつかみながらバランスをとって下る下る。
撮る写真も集中力がないものが多くなっちゃった。
最後の7キロくらいは朝来たロードを下る。時計を見ると7時間15分くらい。目標タイムが8時間半だからこのまま行けば達成できそう。それどころか「7時間台もいけるんじゃない?」と欲も出てきた。いい気なものだ。
体に異常もなく、膝も痛くないので下り坂を順調に飛ばす。昨日見学した「御岳山史料館」前では案内してくれた係りの方たちが私設の給水を用意してくれて美味しく頂いた。ありがたい。
このあたりでかなり高揚した気分になり楽しい気持ちになった。ランナーズハイってこういうことなのだろうか。
緩やかなロードの下りといっても、やはり疲れは溜まっている。役場辺りまで降りてきてからの残り4キロくらいが本当に本当に苦しかった。ちょうど太陽も西日を指していて真正面からぎらぎらと照りつける。残り区間は意識もうろうとして目をつぶってしまったりフラフラした。でも歩いたら終わりだと自分に言い聞かせてわずかでも走るように心がけた。
15時11分、何とかヘロヘロとゴール。オールスポーツの写真撮影を意識しかっこよくゴールしたかったがその余裕もなし。「やったやり遂げた!」という達成感よりも「終わった~完走できてよかった~」という気持ちが一番。残り数キロの何でもないロードが本当に苦しかったぁ。桶川師匠グループやザスパさんのゴールで声援を送る。
リザルト速報みたら174位でした。完走者の半数の目標は達成できたみたい。
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■レース当日振り返り
①水1.5リットルにムサシを溶かして用意したが少なかったかもしれない。充実したエイドに助けられて何とか持った感じ。やっぱり水分は課題。なくなる不安が大きいので別パックで500ミリリットルくらい持ちたかった。
②食料(固形物)が喉を通らないということを初めて経験。水分やジェルばかりで体がおかしくなっている。レース後も翌日までご飯を食べるたびに喉が痛くてしょうがない。
③疲労は少なかったが大腿四頭筋内側がプルプル。ふくらはぎが攣らなかったのは新しく用意したSKINSのソックスの効果もあるかな。
④足の指のマメや靴ずれなどが多いが、痛くなったら立ち止まってでもきちんと処理をすること。絆創膏やテーピングできちんと対処すればその後はほとんど気にならなくなる。
⑤直前1ヶ月くらい、トレッドミル傾斜をかなり大きくして(まわりの人がひくくらい・・・)集中して登りトレーニングしてきたがその成果が多少出たような気がする。やはり努力すればその分は報われるかな。それがトレランかな。
⑥ETC割引を利用して木曽はそう遠くない。上信越道・中央道。地元の人の話では木曽は塩尻からよりも最近では伊那インターから権兵衛トンネル利用が便利らしい。
⑦おんたけに集まる人はウルトラや萩往還などのTシャツを着ている人が多いし、見るからに強い足をしているひとばかり。強者ぞろい。また、そうでない人も相当覚悟して参加している。
⑧あんなに苦しんだのにレース終わって一息つくと、不思議と来年の計画を練ってしまう感覚。参加した人じゃないとわからないのかなぁ・・・
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
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コメント
おんたけお疲れ様でした。過酷なレースだと言うことは、十分伝わってきました。
でも達成感はたまらないでしょう。
自分もいずれは参加してみようと思います。
投稿: 三姉妹の親父 | 2009年9月 1日 (火) 20時56分
おんたけトレランお疲れ様でした。
長文ブログを読ませて頂きました。おんたけ山岳40キロは過酷ですね、私には無理かな~神流トレラン参加が11/15にありますが心配しています。
レース当日振り返り編参考になりました、いろいろご指導お願いします。
投稿: ベアー | 2009年9月 2日 (水) 22時26分
三姉妹親父さん>
過酷だから余計に面白いんですかね。周りの人もよくやるなという感じです。いずれと言わずに来年の目標にしますか?毎日ジョグしてるんだから行けますよ。
ベアーさん>
ちょうどモンブランで鏑木さん3位・横山さん6位の速報が入りました。いつものノースフェイスの方も喜んでました。ベアーさんにも宜しくと…志賀にも来てたよねって。神流は地元だから何とかなるでしょう!楽しみましょう。
投稿: sugoroku | 2009年9月 2日 (水) 23時16分
初めて書き込みます!
私のブログへの訪問&書き込み、ありがとうございました。
偶然にも私のショットに写り込んでいたんですね!!
よく見つけてくれました!!!!!
ところで、もう1枚、正面から写っている写真がありましたので
もしよかったらメールでお送りしますね。
(※私のメールアドレスに返信してください)
顔は帽子のツバで隠れていますけど雰囲気は伝わってきます。
投稿: koba-tea. | 2009年9月 8日 (火) 20時05分
Koba-teaさん>
朝霧トレランの様子を探していたのでブログ拝見は偶然でした。でも何やら同じような位置取りだし、じっくり見ていたら自分が写っていました。逆に僕の写真にもkobaさんいました。ロード登りの写真ですがボケていますね。
レース後分析もなるほどでした。自分もそうですがマメにリザルト会席する人って結構いるんですね。面白い。
投稿: sugoroku | 2009年9月 8日 (火) 21時03分
↑コバティさん経由で遊びにきました~♪
我が家の子供達のハイタッチ採用ありがとうございます(^^)
2008年6月友達がおもしろいよ♪と誘ってくれた「おんたけスカイ」コースも見ないでエントリー。
だんなに月間100km走らな死ぬぞ!と脅されそれまで月間距離はレースのぶっつけ本番のみのハーフだけとか・・フルだけ・・とか(^^;
必死で3ヶ月月間100km走りました。
迎えた2008おんたけスカイ。制限時間でいけるとこまで!と走り出したら、めちゃ楽しい!
と、いっても最初のスキー場ののぼりで両足がいつつってもおかしくない状態になりましたが・・。
今回同様家族の移動応援のおかげでクリア♪(テンションで走る女です)
来年も絶対でる!って決めて、今年もエントリーしました。
やっぱり、おんたけは楽しいですね。最高です。
投稿: つっちー | 2009年9月15日 (火) 10時48分
つっちーさん>
コメントありがとうございます!ハイタッチ写真も勝手に掲載してしまいすみません。移動してあちこちで応援してくれたので一番印象的でした。「かあちゃんがんばれ!」のボードも同じですか?別人?
コースタイムが長い中で熱心に追っかけ応援してくれる家族の絆を感じました。ゴールでもそういう光景がありました。
はるばる遠征して荒行の如く尋常じゃない標高差を駆け登るおんたけはトレランというよりまさに「スカイレース」でした。最後のロード3キロが一番きついけど来年も出たくなりました。
もしレースが重なったらまた宜しくお願いしま~す!(予定は右の「出場(予定)レース」に載せておきます。
p.s. 写真を撮ったスキー場付近と第一関門で子ども応援を受けたので同じようなペースで走っていたと思ってリザルトとkoba-teaさんブログ見たら、なんと女性7位・年代別1位じゃないですか!かあちゃんすごいなぁ!
投稿: sugoroku | 2009年9月15日 (火) 21時38分
かぁちゃんボードと同じです~♪
実は相方が野辺山100kmとおんたけウルトラ100kmを走ったんです。
そのとき野辺山100kmでは子供達と「とうちゃんがんばれ」の応援旗を持ってずっと最後まで移動応援しました☆
だからそのお返し☆だと思いますv(^^)
http://blog.goo.ne.jp/yuka_0826/e/c7d80a69d3196c6ae9bce8f0ae3e3881
有名なハリ天さん・ハリマネさんブログでものせてもらいましたぁ♪
タイムが近いと走ってる間もだいたい近くですもんね。
応援してても、選手のほうから「またきてくれた~♪」とか「ありがとう~♪」って言ってもらえるとほんと嬉しいです♪
だから私も選手として走ってるときはハイタッチ&ありがとうで答えますv(^^)
またどこかの大会で♪
投稿: つっちー | 2009年9月16日 (水) 07時35分