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2010年5月16日 (日)

道志村 関門との戦い

レースから数日経って、ようやく道志村をまとめる元気が出てきました。長文ですよ。(5/20)

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第2回道志村トレイルレースに参戦。前週に安政遠足(29K)で頑張りすぎたので多少不安が残る。(と最初から言い訳をいっておく・・・)

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この大会、第1回の昨年は天気が良くなかったこともあり、なんと完走率30%と凄まじい結果だったらしい。レース経験豊富な桶川師匠集団も「あれは関門がものすごく厳しかった!」と聞く。

そんな情報が入ると、ますますやる気になってしまう性分なので、板橋の新河岸さんとともに早々にエントリー、練馬の飛脚会さんも出るというので、前夜現地に集合して仲良く車中泊。

翌朝5時半に受付を済ませ、まったりしていると、ザスパ伊勢崎さんと偶然会う。群馬からエントリーしている人は極めて少ない。そのうち物好き2名ここにあり。

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4人で準備を済ませて7時にロング・ハーフ一斉スタート。道志中学校からわずかに富士山が見える。感慨深く写真を撮る人。

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実は今回は試走はもちろん、コースの研究もあまりせず、自分としては珍しく行き当たりバッタリ。飛脚会さんは先月第1関門まで試走したというので話を聞くと、なかなかタフで関門まで21キロの制限時間5時間は結構きついよという。

最初は林道走行。最近は緩やかなロードの登り坂も頑張って走れるようになってきた。地図を落とした人がいて、律儀に拾って追いかけて届けるザスパ伊勢崎さん。ご苦労さん。

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登山道に入る。渡渉あり、急坂あり、激坂あり、急坂あり、激坂あり・・・最初からもうそればっかり。ここで標高625Mメートルくらいから一気に1224Mまで上りあげる。

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やっとのことで尾根らしき地点に着いたと思ったら、今度は下りになってしまう。激下り。こういうのはせっかく登ったのに本当にもったいないと感じるのはいつものこと。

こんなことを思ったのは最初のうちだけで、このレースは終始こんな感じで、もう後半は考える気力も失せてもうろうと走る・歩くだけ。それがこのレースの印象。

途中、見たことが あるユニフォームの方を見つけ、ジョグノートリンクのうまっちさんに挨拶する。神流・御岳ほかであったこともあり、たぶんこれからもお世話になると思う。

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途中から見えた富士山。コース各所から富士山が見えるのかとかなり期待して参加したが、道志村は位置的に富士山とは離れていることが参加してみて判明。忍野や朝霧など富士山麓とは立地が違うみたい。

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道坂峠では後ろから新河岸さんがやってきてしばらく話をしながら併走するも、自分はすぐについていけなくなり道を譲る。すでにここまでのアップダウンで今日はふくらはぎよりも登り用の大腿筋内側が引き攣り、登るに登れない。

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しかも、道坂峠から先にドドーンと待ち構えるのは前半の山場「御正体山(みしょうたいさん)」でここでも一気に600メートルくらいの激登りが続く。

おまけに忘れてはいけない関門時間の壁。第一関門(制限時間5時間)の通過目標時刻(4時間~4時間半)はとても無理。飛脚さんが試走の時に御正体山から関門山伏峠までは距離はないけど1時間は見たほうがいいといっていたのを思い出し、逆算すると・・・ちょうど5時間前後ではないか!まずい。

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御正体山激上りのあたりが3時間45分くらいで、たぶん周りの人も同じことを感じているのだろう・・・余裕で行ける時刻でもないが関門リタイヤで諦めるにはまだ早く、焦って先に進む人が多い。それにしても急坂にヘロヘロ。

御正体山頂で時間を気にしながら5分休憩。サービスエリアで買ってきた「プリン大福」がすごくうまかった。

関門まで残り5キロの下り。「なんだ5キロか」と甘く見ていたら今まで完全に登り仕様だった両足が言うことを聞いてくれず、激下りに負けて変な感じに攣る攣る。

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騙し騙し下り、時計を気にしつつ、関門時間から逆算してヒイヒイ言いながら下る。たまに出てくる登りはまた足に来る。途中、ボンバーヘッドの軽快なランナーに抜かされる・・・後で確認して分かったがトレランで有名なあのドクターらしく、第一関門で選手たちを激励してくれた。感謝。

長い下りもようやく終わり、第一関門「山伏峠」へ。4時間53分。7分前か・・・危ない。関門時刻を意識したのは初めてで、よく「関門時刻は到着時間ではなくて関門を出る時間ですからね」と聞いたことがあったので、今回、時間には間に合ったけど休む時間もなく5時間までに出発しなければならない(水さえもらえない?)のでは拷問のようだなとずっと考えていたが、やはりそんなことはなかった。

時間に間に合えばあとはゆっくり休憩していっていいとのこと。塩・バナナ・水などをもらう。

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結果的に7分前で滑り込んだので、とりあえず第2関門まで行くことにして栄養補給。と、救護所でマッサージを受けているザスパ伊勢崎さんに声をかけられる。「関門に着いて休んでいたら足が攣って仕方ないんです。もう15分ここにいます。もしかしたらここでリタイヤかもしれません」と。

「捻挫や怪我じゃなくて攣った程度ならほぐして時間が経てば回復するよ。先で待っているよ」と上から目線で励まして先に関門を離れる。自分も相当参っているんだけどね。

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正直、第1関門に向かう途中で心が揺れた。こんなタフなコース、あと20キロも走れるんだろうか、いや走りたいんだろうか自分。時間に間に合わず関門リタイヤはある意味救われる(が、それでいいのか自分)。

時間に間に合えばとりあえず先に進み、見えぬゴールではなく、まずは第2関門を目指そうと。

第二関門までは約10キロで制限時間は7時間半の14時30分。第一関門を離れたのが12時15分だから2時間15分ある。10キロ程度なら2時間あれば・・・とそうあまくないのがこのレース。マップ上の標高差では下り中心のはずだが、要所要所に登りがあり、切り替えがなかなか難しい。

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どうやらこの日の自分は上りが難点のようで、全然思うように進めず。まぁ下りも激下りばかりで走れるわけではなくこちらもダメなんだけど。

ハーフの選手は第一関門で抜けていて、自分の位置取りも極めて時間ギリギリのところにいるので、意外と前後に人はいない。さっそうと抜き去る人はいない。歩いたり休んで消炎剤塗ったりたまに走ったり・・・。後ろからザスパ伊勢崎さんが復活して追い抜いて行き、その後も併走。

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ふと時計をみると、関門時刻の14時30分から逆算すると、またしてもなかなか厳しいことが判明。第1時間門を離れる時は10キロで2時間15分あると安心していたのに、やっぱりコースがなかなか厳しかったのか・・・。

ダート林道走りと道の駅へ続くロードにかなり救われた。人々の応援にも励まされて、なんとか第2関門に到着。時刻は14時24分。6分前だ。ああギリギリ。

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正直、ここでもいいかと思っていた。第2関門まで楽しく走れれば30キロは走ったことになるし自分なりに達成感もあるかなと。そして何より、これから先に続く鳥ノ胸山(とんのむねやま)への500メートルの激上りには「この期に及んでなぜこの上りを!」とマップを見ただけで嫌気が差したのは自分だけではないはず。

第1関門到着と同様、時間に間に合えば先に進み、間に合わなければ内心ホッとしてリタイヤできると考えて走ってきた。

が、関門時間には間に合った(間に合ってしまった)ので、富士山麓でリフレッシュしようと出掛けた自分のためにも、関門でリタイヤする人のためにも、完走率をあげたい主催者のためにも、とりあえずゴールを目指すことにした。

ゴールの制限時間が10時間の17時だから、今から2時間30分はある。残り10キロだから2時間30あれば大丈夫だろうと考えたものの、確か第2関門までも全く同じことで時間ギリギリだったはず。少しペースを早めて先を急ぐ。

鳥ノ胸山登山口までのロード部分は埼玉のウルトラランナーの方と話をしながら駆け上り、萩往還・奥武蔵・奥久慈などいろいろな情報を短時間で得られた。50歳代のようだけど若々しく楽しむ姿が印象的。

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鳥ノ胸山への登りはものすごい傾斜。だけどもうここは笑うしかない。苦笑。周りの人も頑張るとか頑張らないとかいう次元ではなくただただ黙々と登るだけ。登らないと苦しみから解放されないから・・・。

激上りで役立つのは登山的な感覚でゆっくりとでも一歩一歩歩きあげ、相当ゆっくりなペース進むといいことに気づいた。先行の方々にも感謝。(先行の方々皆さんには下りで軽快に抜かされたけど・・・)

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鳥ノ胸山山頂で「あとは下りですからね~!」と誘導の方に渇を入れていただき、コース状況を聞いたら山道はあと少しでその先はダートの林道が4キロくらい続いてその後はロードと聞いて俄然やる気が出た。ダート林道ならまだいいかな。

残り3キロ地点で力が抜けてしまいそうになり、ここまで来てハンガーノックもしゃれにならないので歩いてパンを押し込む。時計を見ると16時20分。結構時間も余裕なし。

その林道に出て延々と下り下り、車道に出て自分の車が止まっている駐車場を通り過ぎ、道志の湯あたりからは先にゴールしたりリタイヤした方が駐車場に戻りながら応援してくれた。ありがたい。

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何とかゴールまで走りきり、9時間41分で無事完走を果たす。時間はかかったけど完走は完走。途中何度も諦めようかと思ったけど、関門時間ギリギリでパスし、最終的に自分に負けずよかった。

やはり長い長いトレイルの先には、何とも言い表せない達成感というか大きな課題というか得られるものが多かった。

<おまけ>

①今年の完走率は66%と結果。昨年に比べると倍以上になったらしいが、一般的には決して高い完走率ではない。関門時間がきついのでタフなことは間違いない。

②そして、去年は関門時間がさらに30分短かったとか!あれ?その設定でいくと自分は第一関門で完全アウトだ。

③これまで参加したレースのなかで最も辛かった。同じ距離でもおんたけスカイレースや神流ラン&ウォークなどよりも過酷だという印象。ほかの方の話では北丹沢・富士登山よりもタフだという声も。

④昭文社『山と高原地図』の「28丹沢」をレース後に買ってきてコース確認してみたら・・・道志村を取り囲む広大なコースと判明。

⑤コース上で山名が分からなかったところがかなりあった。

 A 御正体山 → みしょうたいさん ※日本二百名山

 B 菰釣山 → こもつるしやま? ※山梨百名山

 C 菜畑山 → なばたけうら? ※山梨百名山

 D 今倉山 → いまくらやま ※山梨百名山

 E 鳥ノ胸山 → とんのむねやま ※山梨百名山

⑥前半第1関門まで併走したハーフ参加者の方、音楽聴いて走るのは自由だけどイヤホンから音が漏れ漏れもれ漏れ漏れモレ!!聴きたくもないハードロックを延々聴かされるのは周囲の者はたまりません。これ山手線なら殴られますよ。それに山に来たら鳥のさえずり聞いたり景色みたりしたほうが絶対にいいって。

⑦屁をこく人が意外と多い(人のことは言えないが)。たぶんマラソン・トレランと腸の動きには密接な関係があるにちがいない。

⑧圏央道開通により群馬から山梨・富士五湖方面へのアクセスがとても良くなり、1時間半くらいで中央道へ。しかし、そこからが長い。相模湖ICでおりず、都留IC経由して道志村に向かうが山道で・・・。au携帯も圏外多く、都心に近いが山深いことを実感。それはそれでよし。

⑨今倉山あたりは走り屋が多い道らしく、日曜日でレース中も騒音がすごい。村人の方々の気苦労が偲ばれる。

⑩町おこしという点では神流町と同様、住民参加型のイベントの印象。コースも40キロと同じような感じだが、実際の過酷は比較にならない。走りやすい神流に比べ、道志はこの過酷路線を突っ走るのかな。

⑪厳しいコースということもあり、女性参加者が少なかったようだが、その分、参加してくる方々は精鋭と見えて、きれいなお姉さんランナーに続々と抜かれた。急登を余裕に登る女性も多くて、この世界、本当に年齢や性別は意味を成さない。

⑫アップダウンが多いいやらしいコースではオートマ走りでは対応できず、「上り」「下り」を意識して切り替えるマニュアル走でないとダメだと実感。脳みそ信号と筋肉と絶対に関係があるに違いない。

⑬HPでリザルトが公開された・・・本当に後ろから数えて何番という位置。でもとりあえず完走目標だからこれでいいのだ。しっかし、6時間や7時間台でゴールする人も結構いるもんだな~自分にはどこをどう走ったらそんなタイムになるのか想像もつかない。

この記事は個人的な山行・ランニング記録としてまとめています。特にコースタイムやルート状況の記載には個人差や主観がかなり含まれますのであまり参考になりません。

エスケープルートの確認、最低一晩は夜をこせる装備(衣類・ヘッドランプ・食料ほか)の持参が必要な山が多く含まれています。

気象条件や目的・個人の力量・経験にあわせて必ずご自身で綿密な計画を立ててください。最近、ネット情報に頼りすぎて遭難に至るケースが増えているようです。(『山で死んではいけない』74ページ,山と渓谷社,2009,9)

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コメント

読めば読むほどすさまじいですね。何時か自分も走ってみたいですね。

投稿: 三姉妹の親父 | 2010年5月20日 (木) 21時41分

完走おめでとうございます。とても厳しいコースだったようですね。
読んでいて、来年ぜひ出てみたいと思ってしまいました。
うーん4月奥久慈、5月道志、6月いわて銀河、ちょっと無謀かも。
うーんでも出たいなあ!

投稿: ACバンタム | 2010年5月20日 (木) 22時58分

三姉妹親父さん>
ぜひ参加してみてください!やっぱり一度痛い目にあってみることをおすすめします!僕もザスパ君も毎度毎度一皮も二皮も剥けてたくましくなっています!?

ACバンタムさん>
ひょっとして参加しているんじゃないかと名簿で探しました。バンタムさんなら余裕で7時間台可能じゃないでしょうか・・・。
今年7月に何を血迷ったか志賀高原50Kと野沢温泉65Kを申し込んでしまったのですが、道志に出て非常~に不安になってきました。
野沢あたりいかがでしょうか?富士登山かな?

投稿: 山系ENJOY | 2010年5月20日 (木) 23時09分

やるね!sugorokuさん完走さすがです。
今度飲み会の席でもっと詳しく聞かせてください。
特にあなたを抜き去ったきれいな女性の事をもう少し詳しく。。

投稿: GOTTI | 2010年5月20日 (木) 23時36分

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